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                                行政書士田中 明事務所


   < コラム >  

  名簿売買を許可制にしてオレオレ詐欺の根を断て

 振り込め詐欺などの特殊詐欺が猛威を奮っており、本年の被害額は過去最高の400億に届く状況に
あります。  振り込め詐欺の中でもオレオレ詐欺が急増中で、その8割は現金やキャッシュカードを受
け取りにくる受取型です。   また、オレオレ詐欺の被害者の8割は東京、神奈川など首都圏に住み、
被害者の7割が65歳以上つまり高齢者なのです。
  警視庁も検挙に力を入れており、「だまされたふり作戦」を呼びかけています。   この手の電話が
あったら騙されたふりをして警察に連絡し、犯人が現れたところを逮捕するという作戦です。
  しかし高齢者は判断力が鈍っていてこれが詐欺だと気付かないから被害に遭うのあって、「だまさ
れたふり」などの高等戦術を取れる高齢者がどれだけいるか疑問です。
オレオレ詐欺では息子や孫になりすまして、「会社の金を使い込んだ。 今から金を取りに行くから用意
してくれ」「今風邪をひいて喉の調子が悪い」などと巧妙な電話を掛けて来ます。

 まず思うのは、オレオレ詐欺師はこの高齢者の家にサラリーマンの息子や孫がいることをどうして知
っているのかです。  この前、犯人グループから多種多量の名簿が押収されました。   名簿のタイ
トルは、「株取引経験者」「大手企業退職者」「訪問販売」「セレブ婦人」「未公開株購入者」など実にさま
ざまで、その中に125万人分の個人情報が載っていたといいます。
  これらの名簿は名簿業者を通じて広く出回っているのです。   個人情報保護法では、原則として
名簿の売買を禁止していないのです。

  個人情報保護法23条2項は、「本人から削除の申出があった場合に必ず削除することにしている場
合であって、次の事項があらかじめ本人に通知し又は本人が容易に知り得る状態に置いている時は、
個人情報取扱事業者は本人の同意なく個人情報を第三者に提供することが出来る」としているから
です。
  イ 第三者への堤供を利用目的とすること
  ロ 第三者に堤供される個人データの項目
  ハ 第三者への堤供の手段または方法
  ニ 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者堤供を停止すること

  オレオレ詐欺の実行犯はこの名簿からサラリーマンの息子や孫がいる高齢者宅を見つけて電話して
来るのです。  これだけの被害者が出ているということは、名簿から狙える高齢者宅がなりの確率で見
付かっているということです。
 オレオレ詐欺師達は、複数の名簿を絞り込んだり被害者リストなどを詐欺仲間と交換して、ピンポイント
情報つまり「カモリスト」に仕上げでいると云います。  その点ではオレオレ詐欺師は、ピンポイトン名簿
を作成する上で相当な技術を持っているプロなのです。

  ところで、住民票や戸籍などの個人情報を本人以外の者が役所から入手することは、困難になってい
ます。  行政書士には代理請求権がありますが、相続などの業務に関連する限度で請求出来るに留ま
ります。  
  このように折角役所が個人情報の不正取得を窓際で堰止めているのに、名簿売買が原則自由である
ことによってそれが骨抜きにされている実態があるのです。

 警察はオレオレ詐欺師から押収した名簿の記載者を個別訪問して注意喚起すると云います。  地域に
は民生委員がおりますから、民生委員にも名簿を渡して見守りをして貰うのもいいと思います。
  しかし、私は名簿販売業についても古物商や風俗営業と同じように許可制にして警察の管理下に置き、   
名簿売買については原則禁止にすべきと考えます。   個人情報が悪用される危険という点では、名簿
と戸籍謄本等に実質的な差違はないと思うからです。
  オレオレ詐欺師が名簿を容易に集められるのは、名簿売買が放任されているからです。
ダイレクトメールなどの商用目的は原則禁止とし、警察の許可を得た例外的な場合に限り名簿売買を認
めれば十分です。  こうでもしない限り、オレオレ詐欺の根を断つことは難しいと考える次第です


                                            2013..12.10
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