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こうやって保険金不払いと闘え!
〜免責規定の立証責任は保険会社にあります〜
平成18年の明治安田生命に続いて平成19年は損保ジャパン、三井住友海上火災といった損保
業界3位、2位の保険会社が金融庁の業務停止処分を受けました。 特に三井住友火災では保険
金不払いが4万件以上も見付かり、第三分野の医療保険については無期限の契約・募集の禁止と
いう物凄く重い処分となりました。
日本は保険契約高でアメリカに次ぐ世界第2位ですが、一人当たりの保険料支払額では何とアメ
リカの2倍の水準なのです。 保険の先進国アメリカの2倍とは、要するに日本人は払い過ぎてい
るのです。 こんなに保険料を集めておいていざ保険事故が発生したら保険金の支払いを渋って
保険契約者を泣かせるとは・・・・・保険会社の社会的責任が十分果たされているとは言えません。
以下では、保険契約者を保護する近時の重要な判例を紹介致します。
<生命保険の約款にある無催告失効条項について>
保険料の支払いを怠り猶予期間が経過すると、催告もなしに保険契約が失効
するという無催告失効条項がどの生命保険会社の約款にもあります。
民法第540条及び第541条では、相手方が債務を履行しない場合に、相当の期間
を定めて催告をしその期間内に履行されない時は契約解除が出来、解除は相手
方に対する意思表示によってするとされます。
それに較べると、無催告失効条項は契約解除に催告も契約解除の意思表示も要
らないとしており、保険契約者の権利を制限しかつ一方的に保険契約者に不利益な
特約になっているのです。 参考 →消費者契約法第10条と保険約款
近時、消費者契約法第10条を初めて適用し、この無催告失効条項を無効とする
画期的な判決がありました。
「 無催告失効条項は、民法1条2項に規定する基本原則である信義誠実の
原則に反して消費者の利益を一方的に害するものであり、無効である」
(東京高裁平成21年9月30日判決) →判決全文
しかし、最高裁は原判決を破棄し、差し戻しました。
「本件約款において、保険契約者が保険料の不払いをした場合にも、その権利保護
を図るために一定の配慮をした上記イのような定めが置かれていることに加え、
上告人において上記のような運用を確実にした上で本件約款を適用していること
が認められるのであれば、本件失効条項は信義則に反して消費者の利益を一方
的に害するものに当たらないものと解される」
(最高裁平成24年3月16日小法廷判決) → 判決全文
※ 判決中のイとは、失効までの猶予期間の存在、保険会社契約者を保護する仕組みを差し、
上記のような運用とは督促の確実な運用等を差している。
<保険約款の免責規定について>
保険事故が保険契約者の故意、重過失、法令違反等で発生した場合、
保険会社は保険金を支払わないとなっています。 しかし、判例でこの
免責事由の立証責任は保険会社にあるとされています。
1 最高裁平成16年12月13日第二小法廷判決
店舗総合保険契約の約款に基く火災保険金請求事件
※ 争点 → 免責規定の立証責任は、保険金請求者にあるか保険会社にあるか。
[判決理由の要旨]
・ 火災保険契約は火災によって被保険者の被る損害が甚大なものとなり、
時に生活の基盤すら失われることがあるため、速やかに損害がてん補される
必要があることから締結されるものである。
・ さらに、一般に、保険金の請求者が火災の原因を証明することは困難である。
商法665条、641条は保険金の請求者が火災の発生によって損害を被ったこと
さえ立証すれば、火災発生が偶然のものであることを立証しなくても、保険金
の支払を受けられることとする趣旨のものと解される。
・ 本件約款に基き保険者に対して火災保険金の支払を請求する者は、火災
発生が偶然のものであることを主張、立証すべき責任を負わないものと
解すべきである。
2 最高裁平成9年3月25日判決
火災保険金請求事件
※ 争点 → 保険金の支払時期、保険会社の履行遅滞の責任
[判決理由の要旨]
・ 保険会社側の損害てん補の義務は、損害発生後遅滞なく履行されることが
期待されているものといわねばならない。
・ 約款では被保険者が手続きをしたら日から30日の期間を猶予期間とし
て定めている。 右猶予期間の経過により保険金支払いの履行期が到来す
ることを定めた保険金支払時期についての約定と解することができる。
猶予期間内に保険会社が必要な調査を終えることができなかった場合に
あっても、速やかにこれを終えて保険金を支払うべき旨の事務処理上の準則
を明らかにしたものと解するほかはない。
・ 保険会社と保険契約等のいずれの責めに帰することもできない理由に
より猶予期間内に所要の調査を終えることができなかった場合にも、
保険会社は猶予期間経過後の遅延損害金を付して支払わなければなら
ない。
3 最高裁平成18年6月1日第一小法廷判決
自動車の車両保険に基く保険金請求事件
※ 争点→事故が故意によることの立証責任は、被保険者にあるか保険会社にあるか。
事案 エンジンをかけたまま駐車していたキャンピングカーが動き出して海中に
水没。 保険会社は偶然の事故にあたらないと主張して保険金の支払
を拒否していた。
[判決理由の要旨]
・ 保険金請求者は、事故の発生が被保険者の意思に基づかないことに
ついて立証責任を負わない。
4 最高裁平成19年4月17日第三小法廷判決
自動車の盗難による車輛保険請求事件
※争点→偶然な事故の立証責任
事案 被保険車輛が盗難に遭ったとして保険金を請求したら、保険会社が保険
契約者による持ち去りを主張して拒否。
[判決理由の要旨]
・ 商法629条が損害保険契約の保険事故を偶然なる一定の事故と規定した
のは、損害保険契約は保険契約成立時において発生するがどうか不確実な
事故によって損害が生じた場合にその損害をてん補することを約束するも
のである。
・ 同法641条は保険契約者又は被保険者の悪意又は重過失によって生じた
損害については、保険者がこれをてん補する責任を有しない旨規定してい
るが、これは保険事故の偶然性について規定したものではなく、保険契約
者又は被保険者が故意又は重過失によって保険事故を発生させたことを保
険金請求権の発生を妨げる免責事由として規定したものと解される。
・ 保険金の支払いを請求する者は偶然な事故についての外形的な事実
を主張立証すれば足り、事故が被保険者の意思に基づかないもので
あること主張立証すべき責任を負わない
ж
保険金の不払いとは支払うべき保険金が支払われていない事態なのです。
つまり、請求していなかったり、保険約款の内容を知らなかったり、保険
会社の通知書にある保険専門用語の意味がよく理解出来なかったり、要す
るに保険会社と保険契約者の情報格差がその根底にあるのです。
消費者契約法が平成13年4月1日から施行されているのに、保険会社の対応
は相変わらずで保険金の支払いになると不親切極まりありません。
生命保険契約の失効が年に170万件もあるといいます。 保険契約者
や保険金受取人の意図しない失効も少なくないのではと予想されます。
保険約款その他保険契約の内容がよく分らないという方、
不当な保険の失効や身の覚えのない免責事由を通知された方は、
当事務所までご相談下さい。
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最終更新日 平成24年5月15日
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