職人型内容証明仕掛人の方法論 !  第148号
                     平成30年10月30日発行
           職人型内容証明仕掛人が一発解決目差す合法的仕掛け作りのノウハウ。

                       今回の目次
              □ 
信販のシステムが孕む構造的な危険
                 ~加盟店調査管理義務の範囲について



 信販のシステムには悪質な販売業者の不適正な販売行為を助長することがあり、これを未然
に防止出来るのはクレジットシステムの開設者である信販会社であるとして、信販会社には加盟店
を調査・管理すべき義務が存するとの考えから、経済産業省は行政指導を行っていました。

  この考えが具体的な法的義務として法律に明記されたのは、平成21年12月1日施行の改正割賦
販売法からです。  違反した業者は行政処分(業務改善命令)の対象になります。

  具体的な調査内容については、経済産業省令(規則75条~77条)に規定されています。

  まず、調査が必要な時期は、新規に加盟店契約を締結する時、顧客と個別クレジット契約を締結
する時、特商法の禁止行為等に該当する恐れがある苦情が入った時です。

  ただし、対象の契約類型は特商法上の5類型に限られますから、通信販売は調査不要です。


  さて、顧客と個別クレジット契約を締結する時に調査しなければならない事項及び方法とは、
如何なるものなのでしょう。

  まず、調査事項ですが、違法性の強い勧誘行為(特商法や消費者契約法で取消しうる勧誘行為)
の有無であり、規則75条の第2表に具体的に記載されている事項になります。

  次に、調査方法は、消費者に対して申込後相当な期間を置いて電話等により調査するとなって
います。

  個別クレジット会社は具体的な調査事項をマニュアル化して、申込後の意思確認の架電時に、顧
客に一つ一つ確認しているようです。


  では、違法性の強い勧誘行為の有無を顧客に電話で調査すればそれでこの調査義務を尽くしたこと
になるのでしょうか。

  最近、レンタルオーナー商法に絡んだトライクという高級バイクの個別クレジット契約がトラブルにな
っています。   
         参考 →レンタルオーナー商法は隠れマルチ

  トライクはレンタルオーナー商法に関する外部のO氏との合意に基づき、O氏と提携する販売店から
購入します。 O氏との間ではクレジット分割金以上の配当が毎月約束され1年~2年位は履行されます。 
しかし、やがて停止して、トライクは納車未了なのにクレジット契約の残債150万円位が残されるという
ものです。

  個別クレジット会社は販売店がレンタル目的を隠して2年近くも販売していたのを気付かずにいたの
です(レンタル目的だと分かれば決裁などしません)。

  それまで売れなかったトライクが急激に売れ始め500台も売れた理由は何かを個別クレジット会社が
調査すれば、直ぐにレンタルオーナー商法による高額配当にあることは分かった筈です。
 しかし、顧客から苦情が入るまでその調査をしていた形跡がないのです。


  レンタル目的でトライクを販売する行為は加盟店契約違反の背信的不正行為であるのに、それを個別
クレジット会社が2年近くも気が付かないでいたことが問題なのです。

  トライクが急激に売れ始めた理由の調査などは、規則75条の契約内容等に関する事項にある「付帯
サービスなどの書面に記載されていないもので、申込者の購入判断に影響を及ぼすような事項の有無」
に含まれると考えます。

  顧客が販売店より「自己使用目的」と告げるよう要請されていたトライクのケースのように、クレジット契
約の裏に隠れた事情になると顧客への電話調査で判明しないのが通常と思われますから、外部の調査
機関を使うなどの調査も必要になってくる場合が当然予想されます。

 そうだから、電話調査は例示であってそれが調査の全てではないという趣旨から、法文上「電話等」とし
ているのだと思われます。


 次に、顧客が納車未了を以て支払停止の抗弁を主張したのに対して、個別クレジット会社から「自己
使用目的」と告げているから信義則に反し認められないと反論されることがあります。

 しかし、静岡地裁浜松支部平成17年7月11日判決に拠れば、抗弁を主張することが信義に反すると
認められるような特段の事情がある場合には、抗弁対抗が許されないが、そのような特段の事情とは
「本件モニター商法が公序良俗に反するものであることを知り、かつ、クレジット契約の不正利用
によって信販会社
に損害を及ぼすことを認識しながら、自ら積極的にこれに加担したというような
背信的事情がある場合をいう」
と判示しています

  顧客は販売店から「自己使用目的」と告げて下さいと云われたからそう告げているだけで、レンタル目
的の個別クレジット契約が決裁されない理由もよく知らないのが普通です。

 クレジット対象の商品は、クレジット会社に所有権留保されている担保であり、完済により初めて所有
権は買主に移転するなどということも顧客は知らないのですから、クレジット会社を騙そうなどいう故意
がないのは当然です。  

 ですから、トライクの顧客には支払停止の抗弁が信義に反するような背信的事情はないと考えます。


  最後に、加盟店義務違反による民事上の責任は規定されていません。  しかし、そうだから民事上
の責任を負うことにならないということではないのです。

  判例によれば、「加盟店契約締結後においも、同様に加盟店の販売方法を把握するとともに、・・・
加盟店の販売方法に変更がないかを把握すべき義務があるというべきである。・・・・・信販会社がこの
加盟店調査管理義務に違反したことについて重大な落ち度があった場合には、不法行為責任が発生
することがあるというべきである」(静岡地裁浜松支部平成17年7月11日判決)。


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