インターネット行政書士のフロンティア戦略  第102号   
                 平成25年1月15日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
           □ 意思無能力の判断について


  意思能力Iとは民法に明文の規定がありませんが、「自分の行為の結果を正しく認識し、
これに基づいて正しく意思決定をする精神能力」とされ、大体10歳位の子供の精神能力
とされます。

  その程度の精神能力がない場合を意思無能力といい、意思無能力の状態での意思
表示は無効とされます。

  意思無能力の場合としては、強度の精神障害者、乳幼児、泥酔者、痴ほう症患者な
どがありますが、精神病或いは痴ほう症の重症度理解に関して法律家の理解が不十分
なところがあって軽症と判断されて意思能力があるとされる傾向があると云います。

  例えば、アルツハイマー病患者本人が公証役場まで出向いているのに土地売買に関
する公証証書が作成されていたということがあります。

  公証人(元裁判官や元検事がなります)には意思能力を判断する責務があるとは云え、
実際の実務では公証人が作成した公証証書の内容を読み聞かせて本人の署名・押印
を貰うだけですから、 アルツハイマー病患者であっても署名・押印が出来れば通過して
しまう可能性が高いのです。

  しかし、そのアルツハイマー病患者は近所でボケ老人として知られ精神科医から成年
後見人を付けるように助言されていた人であり、土地取引に関し全く理解力を持たず
公証役場に連れて行った人に騙されてそうしていただけなのですから、本来こんなこと
があってはならないのです。

  ですから、公証証書があったとしても、後で精神科医の診断書を提出することで売買
契約の無効が認められることがあるのです。

  なお、認知症などは一般の医師でもまだその理解が十分でなく、3人に一人は認知症で
ないと診断されていると云いますから、診断は必ず精神科医にさせる必要があります。

  精神障害者の場合、司法では精神年齢10歳程度の精神遅滞があると意思無能力と
されているようです。
<意思無能力を認めた事例>
  幼年期に脳性麻痺、 就労経験なし、障害者2級、知能指数68、 算数は一桁の
  計算能力しかない。  
  「金銭消費貸借契約証書、根抵当権設定契約証書の社会的、法律的意味を理解
  する能力を欠いていた」  (平成17年9月29日東京地裁判決)

  総合失調症や躁鬱病などの精神疾患の場合ですが、近年の治療法の進歩により
:軽症化の傾向にあります。   
  その結果、司法に病的な印象を与えないことがありますが、精神科医によると契約時
には重篤な状態にあったと診断されることがあります。

  司法による意思無能力の判断が厳しい方向にあるとは云え、昔のようにパターン化
された判断から個別的で弾力的な判断になって来ていますから、先のアルツハイマー
病患者の例のように精神科医の診断書を証拠にして意思無能力により契約無効とさ
れる余地は十分あり得ると考えます。


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