インターネット行政書士のフロンティア戦略  第107号   
                 平成25年7月17日発行 
      
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                  今回の目次
           □ 非弁と云われない為の予防策
  


  隣接法律専門職種の人なら自分の仕事に対し非弁と云われた経験が一度や二度は
あると思います。    弁護士業務と重なる部分がある以上は、この職種の宿命なのか
もしれません。   

  今日は、非弁とされる法律事務を最高裁はどう考えているか整理して見ました。

  まず、弁護士法第72条はこういう条文です。
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査
請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件

に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取扱い、又はこれらの
周旋をすることを業とすることができない。  ただし、この法律又は他の法律に別段の定
めがある場合は、この限りでない。  」
  ※ 「鑑定」 →法律上の専門知識に基づいて法律事件について法律的見解を述べること。
  
  昭和46年7月1日最高裁判決では、弁護士第72条の立法趣旨について
「・・・・私利をはかってみだりに他人の法律事件に介入することを反復するような行為を取り
締まれば足りるのであって、

同条は、たまたま縁故者が紛争解決に関与するとか、知人のため好意で弁護士を紹介
するとか、社会生活上当然の相互扶助的協力をもって目すべき行為までも取締りの対象
とするものではない」

として、
「 同条本文は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、同条本文所定の法律
事務を取扱いまたはこれらの周旋をすることを禁止する規定であると解するのが相当で
ある」と判示しています。

  つまり、「報酬を得る目的」でかつ「業として」法律事務を取扱うこと、又は
「報酬を得る目的」でかつ「業として」これらの事務を周旋すること、これが非弁である
としたのです。

  結局、非弁は次の5つの要件を全て充たした場合に限って成立するということです。
   1 弁護士又は弁護士法人でない者であること (完全親子会社でも該当する)
   2 依頼内容が法律事件であること (事件性があること 法務省の見解)
   3 受任して取扱った業務が法律事務であること
   4 報酬を得る目的があったこと (目的犯)
   5 業として法律事務を行ったこと

  ところで、「業として」の意味については、昭和50年4月4日最高裁判決で
「反復的に又は反復の意思を持って右法律事務の取扱等をし業務性を帯びるにいた
った場合
をさすと解すべきである」

「商人がその営業のためにした法律事務の取扱等が1回であり、しかも反復の意思をもって
しないときは、それが商行為になるとしても、法律事務の取扱等を業としたことにはならない」
と判示しています。

  次に、昭和46年7月1日最高裁判決の中で非弁とならないと述べられていた
「たまたま縁故者が紛争解決に関与するとか、知人のため好意で弁護士を紹介するとか、
社会生活上当然の相互扶助的協力をもって目すべき行為」についてですが、

  これは「縁故者」や「知人」に報酬を得る目的がなくかつ業として行なうものでないこと、
つまり無償の慈善行為として行う場合であると考えられます。

  なお、「縁故者」とは、血縁・姻戚などによる繋がりのある人、又は特別な関わり合いのある
人を云うのですから、相互扶助的協力行為としてつまり無償の慈善行為として行うのがむしろ
当然と云える関係の人ということになると思われます。


  最も重要なことは、非弁が「報酬を得る目的」つまり「目的」という主観的要素が構成要件に
なっている目的犯だということです。
  例えば、無料法律相談会が法律相談を実施しても非弁にならないのは、「報酬を得る目的」
がないからです。    

 尤も報酬は第三者から受け取る場合でもよいと解されていますから、相談会の場所を
提供をしている者等から報酬を受け取ると非弁になるとされます。

なお、報酬は、額の多寡を問わず、現金の他に物品や供応が含まれます。

 委任事務の為に特別に費やされたとは云えない人件費は報酬になるとされますが、実質的に
無償委任とされる場合に立替えたコピー代、喫茶店代、交通費等の実費を請求しても問題ない
とされます。

  建築主が近隣対策屋に委任した場合に報酬を直接支払わなくても、建築会社の建築請負代
金の一部から近隣対策屋への報酬が支払われることが合意されていれば、非弁になります。

  要するに、非弁は目的犯ですから「報酬を得る目的」の存否がポイントであり、報酬を支払う
合意或いは謝礼を受け取る約束の存在が証拠により立証されれば「報酬を得る目的」があった
とされるのであって、実際に報酬を受領したことが要件ではないということです。

  高裁の判決ですが、「謝礼を持参するのが通例であることを知り、これを予期していた場合でも
報酬を得る目的があるということを妨げない」(東京高裁昭和50年8月5日判決)としています。

 尤も、依頼者が終了後に一方的に御礼として包んで持って来た現金等については、受任者が
成功報酬として請求していない限り、依頼者の自己判断に基づき感謝の気持ちで支弁している
ので非弁の成功報酬には当たらないとのことです(弁護士会の見解)。

 最後に、隣接法律専門職種の人が受任していた案件で途中から訴訟案件になることはよく
あると思いますが、もしそうなったら「真に申し訳ありませんが弁護士をお探し下さい」と受任を
断り、かつ以後は一切の報酬を請求しないことに尽きると考えます。


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