インターネット行政書士のフロンティア戦略  第144号   
                      平成30年7月16日発行 
           
民事法務のフロンティアに鉱脈を目差すインターネット行政書士のマインドと戦略。

                         今回の目次
                 □ 
加盟店調査管理能力は劣化したのか



  倒産間近まで追い詰められた販売店が手を染めるものに、空売り(販売契約が不存在)にクレ
ジット契約を絡めた不正行為があります。

  顧客から名義を借りてクレジット契約を締結させ、クレジット会社から立替金をいながらにして
入手するというクレジット社会ならではの違法行為です。  これが所謂、「名義貸」です。

 「名義貸」には、勝手に他人の名義を使用する「名義冒用」と、本人の了承を得て行う「狭義の
名義貸」があります。

 「名義冒用」が本人に責任を問えないのは当然として、「狭義の名義貸」の方は、本人(名義貸
人)の支払義務が判決で免責されるようになったのはやっと平成に入ってからのことです。
     参考 →HP第86号

  しかし、今でも名義貸人が空売りを認識して名義を貸した点に不正への加担があるとして、クレ
ジット会社が名義貸人を提訴して来ることがあります。

  ところで、最近の名義貸は、本人に名義貸の認識が乏しく、「隠れ名義貸」というべきものです。

  具体的な事例を書きます。

1 「 宅配水用ウォーターサーバーの個人特約店を募集している。  150万円を投資すれば ウ
  ォーターサーバーのオーナー兼個人特約店になれる。  クレジットカードを利用すればリボ払
  いも可能である。 
    購入したウォーターサーバーは販売店が借受けてエンドユーザーにレンタルするので、オー
  ナーに配達されない。
    オーナーには販売店が毎月3万円のレンタル料を支払う。 また、個人特約店を開拓すれば
  レンタル料を増額する」と勧誘されてクレジットカード決済したが、やがて販売店は倒産してレン
  タル料の支払いが停止した。  
   その後、ウォーターサーバーそのものが商品として存在せず、レンタルされた実績もなかった
  ことが分かった。


2  トライクレンタル事業(レンタルオーナービジネスとかトライクシェアリングとも云う)を開
 拓したというAから「トライク(三輪バイク)の購入代金175万円を投資してオーナー兼特約
 店になると、毎月のクレジット分割金+175万円の1%の合計金を毎月レンタル料として支
 払う。 
  新規オーナー兼特約店を開拓すれば1件あたり15000円の紹介料を支払う。

   トライクは沖縄のリゾートホテルなどにレンタルするから、オーナーには納車されない。
 購入代金の支払いをクレジットにすると、29700円の72回分割になる。」

 と勧誘されて、トライクの個別クレジット契約を締結したが、2年位経った頃Aからの支払いが
 停止した。
  契約時にトライクに立会うこともせず、買ったトライクは現在どこに存在するのかも分からな
 いという。


 1と2に共通していることは、商品が買主に納品されていないということです。  そして、いず
れも販売あっせん型の連鎖販売取引(マルチ商法)だと云うことです。

 つまり、特定利益(レンタル料)を収受し得ることをもって勧誘し、特定負担(購入代金)を伴う
ことを条件にレンタル用ウォーターサーバー又はトライクのオーナー兼特約店になるという取引
だからです。

 尤も、2のケースでは、個別クレジット契約の表に現れていない「隠れマルチ」と云うべきもの
です。


 次に、「隠れ名義貸」の側面と不正行為への加担という論点についてです。

 しかし、顧客に空売りに協力しようという意思はなかったと思われますし、販売店の指示で「
自己使用目的」と告げたことが不正行為の加担になるのでしょうか。 
  
 顧客は一般の消費者であり、レンタル目的ならクレジット契約が決裁されないとまでは通常
認識得ないと思われます。

  結局、クレジット会社には加盟店調査管理義務があり、トライクが本当に自己使用目的なの
かは然その調査対象に含まれる筈です。

  調査のプロであるクレジット会社が顧客の告知だけを信じて「自己使用目的」と認定したとし
たら、重過失と云うべきです。

  しかし、どうもクレジット会社は殆どその点の調査をしていないようなのです。

  トライクというかなり特殊なバイクがなぜ急にある時点から売れ出したのか、トライクのレンタ
ルがリゾート地で本当に需要が急増しているのか、それは審査のプロなら疑問に持ってもおか
しくない事項です。
そして、調査をすれば容易に実態が判明する事項なのです。

  しかし、私が一番不思議に思うのは、どこのクレジット会社も調査をしていると思えないこと
です。

  私にはクレジット会社の加盟店調査管理能力の単なる懈怠では済まされない、つまり構造
的劣化が起きているように見えてならないのです。



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