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共同相続人は単独で故人名義預金口座の残高明細及び
取引経過の開示請求が出来るの?
   
                         
参考 法定相続人、なれる順位、相続分

 

  これまで、金融機関から「共同相続人の一人に被相続人名義の預金口座の取引経過を開示することは
預金者のプライバシーを侵害し、金融機関の守秘義務に違反する」として拒否されることがありました。

  しかし、現在では下記最高裁判決により、相続人は共同相続人全員における預金契約上の地位の準共
有に基づきその保存行為として被相続人名義の預金口座の残高明細及び取引経過の開示をを単独で請
求出来ます。

  この結果、遺産相続で争いがある場合にも共同相続人は預貯金の調査・財産額の確定を単独で行うこと
が出来るようになりました。

 「 預金契約は、預金者が金融機関に金銭の保管を委託し、金融機関は預金者に同種、同額の金銭を
  返還する義務を負うことを内容とするものであるから、消費寄託の性質を有するものである。 
  しかし、預金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には、預金の返還だけでなく、振込入金の
  受入れ・・・・・・等、委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている。  

    委任契約や準委任契約においては、受任者は委任者の求めに応じて委任事務等の処理の状況を報
  告すべき義務を負うが(民法645条、656条)、 これは委任者にとって、委任事務等の処理状況を正確に
  把握するとともに、受任者の事務処理の適切さについて判断するためには、受任者から適宜上記報告
  を受けることが必要不可欠であるためと解される。   

    このことは預金契約において金融機関が処理すべき事務についても同様であり、預金口座の取引経
  過は預金契約に基づく金融機関の事務処理を反映したものであるから、預金者にとってその開示を受
  けることが預金の増減とその原因等について正確に判断するとともに、金融機関の事務処理の適切さ
  について判断するために必要不可欠であるということができる。

    従って、金融機関は預金契約に基づき預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義
  務を負うと解するのが相当である。

    そして、預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は預金債権の一部を相続により取得するに
  とどまるが、これとは別に
共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義
  の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる
(同法264条、
  252条ただし書というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由
  となるものではない」 (最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決)


  なお、上記判決は分割債権(相続開始と同時に法定相続分に応じて各相続人に分割され移転する)とされ
一般の預貯金債権に広く妥当します。

  しかし、
定額郵便貯金債権の場合は「郵便貯金法は定額郵便貯金債権の分割を許容するものではなく、
相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない」
(最高裁平成22年10月8日第二小法廷判決)とされており、妥当しません。



<相続人は遺産分割前に単独で法定相続分の払戻を金融機関に請求できるか>

  定期預金について払戻を認めた判例がありますが(山口地裁下関支部平成22年3月11日判決)、
金融機関の実務としては、相続人の単独払戻請求には応じておらず、提訴して判決を得る必要が
あります。


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 行政書士 田中  明事務所