トップ>   エッセー集パートU 題目  >       崩れいく事件性不要説   サイトマップ       

                   内容証明郵便でブレイク !    行政書士田中 明事務所

                      エッセー集 パートU         → HPトップ
                 <縮こまるな、大いなる志を抱いて道を拓け!>


    崩れいく事件性不要説

  弁護士法第72条の「法律事件」の解釈を巡っては事件性必要説と事件性不要説があり、通説と法務省、総務省、
検察庁の実務が事件性必要説に立っているのに対して日弁連だけが未だに事件性不要説に立っています。   
地方の弁護士会になると全ての法律事務が弁護士の独占業務であると云って、行政書士が依頼者の不倫相手
に慰謝料請求の内容証明郵便を作成・送付しただけで非弁活動だとして告発騒ぎを起したりする程に頭がカチカチ
です。
  さて、平成16年4月1日の改正では弁護士法第72条但書に「及び他の法律」が付加されたことで、行政書士法所
定の行政書士業務は弁護士法第72条の適用から外れると解釈する人もいますが、日弁連は「本条は刑罰法規であ
ることから、他の法律で法律事務の内容を明確に特定されなければ、かえって疑義を生じさせる。  少なくとも規制
対象となる範囲・態様について予測可能性を確保する為には、制限的に列挙す方法、例示を列挙した上「正当業務
行為」として特定する方法などその具体化を検討すべきである」などと批判しています。
  仮に事件性不要説に立ったとしても、隣接法律専門職の業務は事件性の有無に関係なく正当業務行為だとして
整合性を図らねばならないと思われます。
 弁護士法第73条に関しては最高裁がみだりに争いを誘発・助長する恐れがなく、社会的経済的に正当な業務
の範囲内
にあると認められる場合であれば、弁護士73条に違反せず」(最高裁平成14年1月22日判決)と判示して
います。
                    → 判決の詳細
 弁護士法第73条の趣旨→ 弁護士でない者が業として他人の権利を買受て実行するのを禁止。
この判例が弁護士第72条の解釈にあたりキーとなる判例とされているのです。
                        
  ところで西田研志弁護士著「サルでもできる弁護士業」(幻冬社)に拠れば、日弁連が件性不要説を捨てないので弁
護士事務所がいつまでも生産性を上げられないままに置かれ、弁護士が何もかも一人でやらねばならないので弁護
士の年平均の受任件数が30件程度しかなく、報酬が100万円以上になる案件は受けるが消費者トラブルなどの低額
案件は受けないという状況になっているといいます。  パラリーガルを沢山使って生産性を上げたりすると弁護士会
から非弁だと睨まれたり、懲戒処分の対象とされると云いますから弁護士会の時代錯誤性には呆れるものがあります。                          
  このように日弁連が事件性不要説を保持し続ける為、自ら弁護士の首を絞めるという笑えない結果を招いているの
です。    西田研志弁護士に拠れば、欧米の弁護士がやらなければならない仕事は裁判業務だけに絞られていて
その他の法律事務は自由化されているといいます。  
  近年、毎年誕生する弁護士の数が500人から2千人に大幅にアップされました。  しかし、司法修習を終えた新人弁
護士の中に法律事務所に就職出来ない人がいて法律事務所のスペースだけを借りる「ノキ弁」や最初から独立する
「即弁」が増えているといいます。   ロースクールを開設した頃の予想に反し訴訟件数が殆ど増えていない結果こん
な馬鹿なことになっているのです。
  日弁連は発想を転換すべき時期が来ているのであり、事件性不要説なんか棄てて法律事務所に多くのパラリーガル
を採用して事務所を大きくすることを考えるべきです。  将来は行政書士の資格者も法律事務所に入って実務を磨いて
から独立するということになるかもしれません。

  しかし、事件性不要説の立場が依然としてまだ根深いとすれば、行政書士が出来ないされる一線だけは越えないよう
にして依頼者のニーズに応えながら粛々と業務を遂行して成果を上げていくしかありません。
  法務省、総務省、検察庁の立場(事件性必要説・正当業務行為説)及び判例から見た非弁との分かれ目について以下
に整理して見ました。  

<非弁でないもの>
1 交通事故に関する損害保険金請求の手続き
  ・過失割合や賠償金額で対立があっても加害者が事故の責任を認め示談で解決する意思を示している場合 
    →事件性はない。  
                         ↓                   
  ・依頼者の主張をまとめた書面を代理作成して送付する行為
    → 行政書士法所定の事実証明・権利義務に関する書類の作成である。
      示談交渉の主体は当事者であるから示談交渉の代理ではない。
                         ↓
  ・双方の意向を確認して和解契約書を作成する行為
    →権利義務又は事実証明に関する書類の代理作成である。

2 行政書士が自ら成年後見人となって申立をすること及び成年後見人としてその業務を行うこと
    →正当業務行為である。

3 内容証明郵便や告訴状の代理作成
    →行政書士法所定の権利義務又は事実証明に関する書類の代理作成である。
  ※ 司法書士の訴状作成が司法書士法所定の業務であるのと同様、書類作成に限っては、
    事件性の有無は問題にならないとする解釈があります。

      
4 相続人間に争いがない場合に相続人に対し分割方法や相続に関する法令や判例について説明する行為、
 及び助言説得を含めて相続人間の合意形成をリードし、遺産分割をまとめる代理行為及び遺産分割協議書
 を作成する行為
    →権利義務又は事実証明に関する書類の作成代理である。

5 当事者間に意見や主張の相違があり一時的に対立したとしても法的なアドバイスを行いながら協議し双方
 の合意形成が達成できる見通しがつき最終的に書面に纏め上げる行為  
    →権利義務又は事実証明に関する書類の作成代理である。
    ※ 民法第108条但書の双方代理であるとする解釈があります。

<非弁とされるもの>
・損害賠償額やある事実の法的評価(当事者の行為が法的にどの程度の過失があったかなど)について訴訟
 や調停に準ずる程度に紛争が具体化した事案への介入
・行政書士が代理人となり直接単独で相手方本人と示談交渉をすること
  ※ なお、本人が同席しての示談交渉なら非弁ではないという考えがあります。
・行政書士が成年後見に関する相談を受け報酬を取って申立をすること
・事件性のある債権(通常の手段では回収困難である場合、最高裁昭和37年10月4日判決)
 の取立てを行政書士が業として行うこと。

<行政書士の業務でないとされるもの>
 行政書士の登記申請代理 
  → 正当業務行為でもなく、本来の業務に付随する正当な行為でもなく、司法書士法違反である
    (最高裁平成9年5月23日判決)


 この分類に留意して業務を遂行している限りつまらない非弁活動などという疑いを掛けられる心配は基本的に
ないだろうと考えます。
                                            2011.3.5



                       行政書士田中 明事務所